漆と溶剤

今日は竹工芸で使う漆について。
専門的になります、あしからず。


漆は種類も多く、名称も産地や業者ごとに異なりますが、ここは金沢方式で記します。

私は漆を
金沢の『高野漆工』から購入しています。
電話 076-221-0190

他に、福井の『箕輪漆工』
http://urushiya.ocnk.net/
東京と会津を拠点とする『藤井漆工』
http://j-fujii.com/

もあります。
好みのところから購入するといいでしょう。
もちろん京都にも良いお店があると思いますが、詳しくないので記していません。


使用する漆は
・生漆ーー塗り重ねる場合の下地用、または安い籠用
・朱合呂色漆ーー艶を消して上品に仕上げる(生漆を精製した漆)
・朱合漆ーー艶を出して仕上げる(朱合呂色漆に荏油や蜂蜜を入れて艶が出るようにしている)
・梨子地漆ーー色を薄く仕上げる、透明度が高い(蒔絵用漆)

の4つ。
生漆でも種類がいろいろあるみたいで、箕輪の極上生漆で仕上げる人もいます。
私は高野の生漆を使用していますが,下地用なのであまり仕上がりはよくありません。

主に使うのは朱合呂色。
100g 約3千円。
50gから購入できるので,はじめは少量で試してみるといいでしょう。
大分県立竹工芸訓練センターで習うのも、この漆です。
一番籠に合う漆だと思います。

染色せずに、表皮を磨いただけの籠に漆を塗る場合,ムラが出て非常に見苦しいので、一度「カシューのクリアー」(透明のウレタンでも可)で薄く塗ってその上から塗るとよい。
この時使用する漆は、精製度が高く、色が薄い梨子地漆がよい。


溶剤は
・純ガムテレピン油(ガムテレピン油、松精油)ーー松を蒸留した油、漆に艶が出やすい 
・ガムテレピン油(Sテレピン油)ーー石油系、揮発が速い
・樟脳油(片脳油)ーークスノキを蒸留した油、やや乾きが遅くなる

灯油で溶かす人もいますが,やめておいたほうがいいです。
また、業界でテレピンといいますが、それは石油系のSテレピン油のことを指しています。
ガムテレピンと書いてあっても、どちらか分からないので購入の際は確認すること。
臭えばすぐにわかりますよ。

価格は純ガムテレピン油が、500gで約1,000円。
Sテレピン油はその半値です。
漆を薄めるときと、刷毛を洗うのに使う溶剤を使い分けてもいいと思います。

竹で使用するのにもいろいろ悩むのですから、本職の人は相当漆を使い分けているんでしょうね。
のぞいてみたいような、のぞかないほうがいいような。


参考までに
朱合呂色(金沢)=研出朱合(京都)=生地呂漆(信州)=素黒目(津軽)
朱合漆=花塗朱合=塗立朱合

と地域によって名称が変化します。
詳しい名称は下のHPで確認できます。
http://urushi.client.jp/urushi/chiikibetsu.html


漆の仕上げ方は、また明日。

by first-nakatomi | 2010-03-02 22:48 | open process
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