また専門的になりますが、
竹籠への漆の仕上げ方法をご紹介。 塗り方 1、布で刷り上げるーー編みがフラットな網代系統 2、刷毛で塗るーー編みに凹凸があるもの 最終のつや出し 1、イボタの花(蝋成分)でつや出し 2、ブラシでこする(豚毛か馬毛) の組み合わせは4種類。 籠に陰影や表情を出したい時、ホコリを入れたり、研ぎ出したりすることもあります。 *応用として、ひごの段階で漆を一本一本塗る場合もあります。 これは櫛目編みなど、籠が完成してから綺麗に塗るのが難しいときに使います。 (私の作品「月韻」「涼韻」などがそうです。) *イボタの花 500g 7,500円税別 大阪の小城製薬株式会社 06-6231-1803 500gあれば何十年もつ量です。 使うときは、布にくるんで擦ります。 要点 ・漆は編み目にたまると汚れたようになるので、毎回必ずブラシをかけること。 (ブラシがけすることで漆が均等にのびます。) (ブラシでひたすらこすると艶も出ます。) ・籐は艶が出にくいので、多めに漆を塗ること。 (初めに籐に漆を塗り、竹部分を塗り、最後にまた籐に塗る。) ・溶剤との比率は、やや薄め。漆:溶剤=4:6ぐらい。 (気温が高いときにSテレピンを使用する場合は、揮発が激しいので漆の濃さにいつも注意を払うこと。) ・脂性の人は要注意 (手油の付いた部分がなかなか乾かないことがあります。特に籐かがり部分。 ハンドクリームも注意。 締め切りがあり時間がないときには本当に困ります。 漆を塗る前に、テレピンで籠を拭くと安心です。) 主に使うブラシはこの4つ。 左から、馬毛・豚毛・豚毛・馬毛。 「ホコリについて」 ホコリは籠を古めかしく見せる効果、陰影や表情を出す効果があります。 ホコリの調合 ・主材 砥の粉(赤、白)、胡粉 ・副材 油煙、弁柄、緑青、藍 主材が5割〜7割、残りは副材。 砥の粉か胡粉に、油煙を混ぜ、色の好みで弁柄や緑青を入れます。 砥の粉と弁柄は、目の細かいふるいでふるう。 ラーメンのだしと同じで、調合は人によって本当に様々です。 試しにいろんな粉を混ぜてみても楽しいですよ。 顔料を入れても面白いと思います。 藍を使う場合は、胡粉と藍をお湯で混ぜます。 その後天日で乾かし、固まったホコリを粉々に砕きます。 それから、ふるいでふるって使用します。 ホコリを入れる流れ 乾式 1回目の漆→ホコリを入れる(→余分なホコリをテレピンで拭き取る) →室で乾燥→2回目の漆 湿式 漆とほこりを混ぜる→出来た泥ホコリを塗る→余分なホコリをテレピンで拭き取る →室で乾燥→2回目の漆 乾式の場合、ホコリを刷毛ではたいて入れたり,布にくるんで叩いたりします。 ホコリは編目の間に入れるものなので,ひごの表面にあまり付きすぎると単なるホコリだらけの籠になってしまいます。 静岡の竹作家 長倉健一さんのように意図的に泥だらけにする人もいます。 「研ぎ出しについて」 ホコリと同じく、染色した籠に表情を出す技法です。 染色を2段階で行い、研ぎ出して1段階目を出す場合、 染色を1段階で行い、研ぎ出して竹の生地を出す場合、 染色をし、漆を一回塗り、研ぎ出す場合もあります。 技法的にはシンプルで、石粉・クレンザー・耐水ペーパー等で研ぎ出します。 研ぎ出しの流れ 染色→研ぎ出し→漆 染色→漆→研ぎ出し→漆 問題点 竹の場合、染色しても日光で退色するので、研ぎ出した部分がわからなくなる恐れがあります。 天然染料の染織の場合がそうですが,ユニクロのTシャツじゃあないんだから、色というのは落ちた風合もまたいいという考え方もあります。 以上、漆を使った竹籠の仕上げ方法でした。
by first-nakatomi
| 2010-03-03 23:48
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