専門の内容が3日続きますが、今日は染色の方法です。
2016年6月19日補足(赤字部分) 現在は主にコールダイオールECOという染料を使っています。 有害化学指定物質を含まない環境にやさしい染料です。 低めの温度で染まるという利点もあります。 籠を高温で歪ませたくない場合には最適。 価格は塩基性染料に比べると少し高め。 染色方法は以下の塩基性染料の染め方と基本的には変わりません。 色落ちも塩基性染料に比べると退色しにくいですが、染料ですのである程度の色落ちは仕方がありません。 どうしても色落ちが気になる方は、顔料を含むカシュー塗料の色付きを塗ると良いでしょう。 ただ原液をそのまま塗ると、竹の繊維感が失われて、ペンキを塗ったようになりますので、薄めて塗ることをお勧めします。 竹籠を染色する場合は、主に化学染料(塩基性染料)を使用します。 ・良い点ーー色が安定している、染まりが速い、 媒染する必要がない、価格が安い ・悪い点ーー色が飛びやすい、環境にはあまり良くない *仕上げに漆を塗るので、塩基性の染料でも色落ちはある程度防げます。 江戸時代には化学染料はなかったので、天然染料を使用していたはずですが,何を使用していたかは不明です。 おそらく、墨汁や柿渋などを使用していたのだと思います。 着物の染料も、明治期には化学染料が入っていますので、その影響から竹業界でも化学染料を使い始めたのでしょう。 別府の年配の先生に聞いても、昔から籠に塩基性の染料を使用していたそうです。 また、講演会でおっしゃっていましたが、京都の早川家では代々竹籠を天然染料で染めていたが、現在の5世から塩基性の染料を使用しているそうです。 染色工程に膨大な時間をかけることに、あまり意味はないと判断されたのだと思います。 染色家ではないですからね。 竹の作家で天然染料を試している人はいますが,実際に現場で使用している人は、ほとんどいません。 数少ないですが、少しいます。 まだまだ研究の余地のある分野です。
ただ、塩基性の染料をベースにし、墨汁や柿渋を入れて自然の風合いを出している作家はいます。 これだけ、環境意識が高まってきているので,竹業界でもよい天然染料の染め方を研究する人が出てもよいと思います。 作る人はなかなか研究時間が取れないので,公的機関が研究してくれるのが一番いいのですが。 前置きが長くなりましたが,実際の染色技法をご紹介。 使う塩基性染料は ・茶粉(ビスマークブラウン)ーーー赤茶色 ・青竹(マラカイトグリーン)ーーー青色 ・岩紫(メチルバイオレット)ーーー紫色 ・ローダミンーーーーーーーーーーー赤色 ・オーラミンーーーーーーーーーーー黄色 購入は三木染料店がおすすめです。小分けしてくれます。 実際は上記の3つをよく使います。 上記の3つを混ぜると黒色になります。 一般的な花籠は、茶粉と青竹を混ぜて使うのが一般的。 配合は好みの色具合を見て調整します。 *茶粉は多めに入れる。 *青竹と岩紫は強いので、ほんの少しでOK。 これは私の染色工程の写真です。 ガソリンスタンドで無料でいただいた金属製のバケツ、たらい、柄杓、目の細かいふるい。 現在は琺瑯製の鍋を使用しています。 腐食に強く長く使えます。 ステンレス製よりも安いです。 準備するものはこれだけです。 ただ、使い方が普通と違います。 本田先生から習った方法なのですが、色は混ぜません。 1色につき、バケツを1個用意します。 理由は2つ 1、染料によって籠への付き具合が異なるので、混ぜてしまうと何度も使うと色が変わってくる。 2、分けた方が色の具合を微調整しやすい。 混ぜて使うと茶粉がなくなり、青竹の色が強くなります。→茶粉を追加する。→色がわからなくなってしまう。 という失敗がよくあります。 なので、初めから分けておいて、交互に浸しながら色を微調整してゆくとよい。 ふるいは、溶けていない染料の固まりがないように、毎回漉します。 たらいは、大きな籠の場合、柄杓でまわしながら掛けてゆくときに便利です。 注意点 *色は少し薄いかなぐらいでやめておく。→乾くと濃くなる。また漆をかけるとちょうど良くなる。 *ひご幅の広いものは、色ムラに注意。→布で拭くか、水で表面をさっと洗い流す。 染色の流れ 染料を入れる→沸かす→漉す→籠を染める→籠を乾かす *染色液は使い続けると、竹の成分が混じっていい具合になってきます。 初めは大変だと思いますが,慣れてくればそれほど難しいことではないです。 ただ、籠を染めるときは毎回緊張します。 染色技法を知っておくと、作る籠の幅が広がるので、挑戦してみて下さい。
by first-nakatomi
| 2010-03-04 23:20
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