PRISMシリーズについて

・コンセプト

「編まない」
「ひとつの完結したパーツを使用する」

竹籠と言うと、どうしても有機的な曲線の編み(またはフォルム)になってしまいますが、根本的に「編まない」という観点で制作しています。
「編む」という行為そのものが、曲線を内包することなので、そこから一度離れてみようと考えました。
竹編みの持つ有機的な曲線が嫌いなわけではないのですが、安易に流れてしまうことが多くなってきたので。
フォルムに気をとられすぎてきていましたので。

ただ、竹の素材の持つ有機性が、今回の直線の構成にも自然ににじみ出ているので、そこは面白いかなと思っています。
竹の持つ特性、「直線的な繊維だけれども適度なゆらぎを持つ。」ということが、こういった作品を可能にしています。
火で曲げることが出来ることも、重要な構成要素です。

もうひとつの、「ひとつの完結したパーツを使用する」ということは、よりフレキシブルな制作をしたいという思いから考えました。
伝統工芸のような作品を作っていると、なかなか崩したりしにくくて、遊びの要素が少なくなり窒息しそうになりました。
そこで、大きさ(この方式だと巨大なものも制作可能)、形(逆に同じモノのほうが作りにくいです)をより自由にすることのできる方式(システム)が必要だと考えていると、この「ひとつの完結したパーツを使用する」という方法に至りました。

本当にいくらでも自己増殖してゆけますので、作っていてもまあ楽しいです。
でも、思っていた以上に、美しい形というものにならないのには驚きました。
どんどん組んで繋げていけば、形になるのだろうと思っていたのですが、そうは問屋が卸さなかったです。

これをどう発展させていくのか、まだ少し時間がかかりそうな気がしますが、以前このブログで書いたように、頭を整理して考えたいと思います。


・契機

そもそも、このシリーズを考えるきっかけになったのが、BAICAでの竹の構造体を研究し始めてからです。
竹の素材の特性を生かした、仮設構造物を製作しようという意図で始めたわけですが、
取り掛かりとして勉強した、アメリカの奇才・バックミンスターフラーの考え方は非常に参考になりました。
私の師である本田聖流の、パーツに分けるという制作コンセプトも、参考になりました。
ジョイント部分は、BAICAでともに活動している大橋さんの、インシュロックの使い方は、仮止めで形を組み立てるときに大きな威力を発揮しています。

作り始めるときはなんだかわけがわからず、いろいろ試行錯誤をしています。
あらかじめ完成形がイメージされて作り出すことは、私に限って言えば、まずないです。
作るうちに、「ああでもないこうでもない」としていくうちにできてしまった、ということが多いです。
最初から設計図があって、それにあわせて作るというのはプラモデルのようで、面白くないと感じてしまいます。
そういう作り方をする人がよくないといっているわけではなくて、私はできないと言った方が正しいです。
作る過程の揺らぎを見極めて、作品に仕上げていくのが自分のスタイルなのだとごく最近きずきました。

そうして、ひとつの作品が完成して、「ああ自分はこういうものが作りたかったのか。」
「こういう影響を受けて作ってきたんだなあ。」と、だいぶん後になって理解することができます。
これが自分にとって、作品を作るという道の、ひとつの階段を上るようなものです。
by first-nakatomi | 2007-09-27 21:49 | open process
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