今回は台湾の竹の工房訪問のレポートです。
台湾工芸研究所の先生の案内で、竹産業の産地である南投県竹山鎮を回りました。 内陸の山中にある地域で、たくさんの竹に関する職業の方達の工房がありました。 面白いと思ったのは、『台湾工藝之家』という国の認定制度があり、ある一定のクオリティーを保っている工房にはこの看板が掲げられていて、観光の指標となっていました。 今回お伺いした何カ所かにはこの看板が掲げられており,工芸家がギャラリーを併設していました。 ここは竹を燻製にする「悦山工房」。 釜の中に竹を入れて、10日以上燃やした木の煙でいぶします。 煤竹のような味わいのある竹が出来上がります。 防カビや防虫の効果もあります。 この椅子は燻製竹でできています。 なかなか良い味わいです。 制作者はこの方。(すみませんお名前を忘れてしまいました。) 8畳ぐらいの工房で、わずかな道具を使って竹の家具を制作しています。 実演をしてもらいましたが,ほとんど神業です。 すくない道具と、自分の技術でものを作るということは、原始的かもしれないけれども、それがかえって、人間らしさのあふれたモノを生み出せると思います。 竹工芸のよさって、そういうところにあるんでしょうね。 昔は生活の中に竹の家具(箪笥、椅子、テーブル、ベッドなど)がたくさんあったそうですが,最近は古いものと見なされてあまり使われなくなっているそうです。 竹の家具は、年月が経つとつなぎ目が緩んできてギシギシ音が鳴るのが若い人に敬遠されるみたいです。 音や揺れは、かえって生活に風情がでると思うけどなあ。 帰りにこの椅子を1脚購入しました。 この方は竹工芸家の葉寳蓮さん。 今回拝見した中では一番独創性あふれた、すばらしい作品を作られる作家の方です。 作品の写真をうまく撮れなくて、アップできないのが残念です。 今後どういう作品を作られるのか、注目しています。 これは葉基祥さんの茶合。 1台湾ドル=約3円。 味のある作品がたくさんありました。 『台湾工藝の家』に認定されている工房で、竹彫の茶道具をたくさん作られています。 竹山鎮に行かれる方は、葉さんの工房兼ギャラリーは要チェックです。 本当に工芸家らしい工芸家です。 おいしいお茶、ごちそうさまでした。 最後は「大禾竹藝工房」の竹でできた iPhoneケース。 台湾では有名な竹の工房らしく、いろいろなところにショップがあります。 そのうち日本にも出店しそうなくらい、洗練されたデザインとアイデアあふれた商品を作っています。 中国の伝統的な茶道具や風水の道具から、現代的な家具やPC関連商品まで幅広く生産しています。 日本にはこういう竹の工房はないですね。 技術的には竹の積層材を使い、木工や指物の技術の高さに特徴があります。 ここも必見。 できれば竹山鎮にある本店が一番品揃えが豊富なのでおすすめです。 たくさんの工房を訪問して驚いたのは、みなさん代々の家の仕事ではないことです。 20年前に将来性を感じて始めたとか、材木を扱っていたのを竹材に転換したなど、竹を職業として成り立たせる気概もって、仕事を始められていました。 日本はどうなんだろうと考えさせられました。 手仕事として竹細工に憧れる若い人は多いけれど、仕事としての気概を持っている人がどれぐらいいるか心もとないです。 学ぶことが多い旅でした。
by first-nakatomi
| 2010-01-31 18:17
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