基礎研究

新しい作品を作るためには地道な基礎研究が欠かせません。
失敗も多いのですが,その失敗の中から発見があり,次に繋がります。

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最新の基礎研究はこんな感じです。
化学の教科書に出てきそうですね。

なぜプロセスを公開するのか。
途中の段階を公開しても人によって発展のさせ方は違います。
自分が考えている作品とは全く違う発展のさせ方もあると思うので,そうした作品が出てくれば刺激にもなりますから。

最近読んだ本『海馬』(池谷裕二と糸井重里の脳科学を巡る対談集)で話されていた、現在の科学研究のあり方、「閉鎖系から開放系へ」「結果重視からプロセス重視へ」といった流れは、アートの世界にも共通すると思います。

開放系の例としては、OSのリナックスやwikipediaですね。
それらは広く公開され、様々な人がどんどん良いものに作り替えてゆきます。
そこではオリジナルを問うことが、あまり意味を持たなくなってきています。

竹も、編みは世界に共通した技術ですし、先人が新しい技術を作り出して現在の竹工芸があるのですから、技術は公開してどんどん良いものにしてゆければいいですね。
# by first-nakatomi | 2010-02-13 23:51 | open process

お箸作り

ただ今お箸を制作しています。
普段、抽象的なものを作っているので、人の生活に役に立つものを作ることは原点に戻る気がします。
お箸は「用の美」の王道ですからね。
少しの厚みや幅で、使いやすさが変わってくるので何回作っても難しいです。
それは人の手ごとに違いますし、奥が深い道具です。
日本のお箸は、繊細です。

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一番右は拭き漆を3回塗った完成品。
他は真竹の表皮を磨いた、漆を塗る前の状態のお箸。
竹の表皮は硬いエナメル質でコーティングされていて、漆がのらないので磨き(刃物で表皮を削り取ること)ます。
昨日までに2回塗りましたが,最後の塗りは天気のよい日に仕上げたいので保留中です。
明るい日差しのもとで仕上げたほうが、細部まで目が届きますからね。

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ラッピングは和紙を何回か折り、袋に入れます。
落款ももちろん押します。
お箸は日本人にとって神聖なものなので,きれいに包んであげたいですね。

長い間お待たせしました,間もなく完成いたします。
# by first-nakatomi | 2010-02-11 22:47 | open process

竹の天日干し

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別府の永井製竹で、8寸の真竹を2束を購入。
竹業界では尺貫法が、まだまだ現役でがんばっています。

ほぼ白竹ですが、青みが残っている部分や、シミが抜けきらないところがあるので、工房の縁側で干しています。
油抜き後、天日で干して間もない頃に雨が降ったりすると、シミが残りやすいですね。
根元の肉厚部分や、粘りのある竹もシミになりやすいです。

竹は秋に伐採し、油抜きや天日でしばらく干して、白竹が出来上がるのが大体年明けです。
秋に伐採するのは、子育て(筍)を終え、竹から水分や養分が抜けてちょうどいい具合になっているからです。
カビや虫が来にくいんですね。
梅雨時に竹をきると、切り口に蟻が集まるぐらい竹には養分があるのです。

自然の摂理にあわせて竹の仕事も動いています。
# by first-nakatomi | 2010-02-10 08:57 | open process

bowl

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最近完成した「bowl」。
直径15×高さ9㎝。
今年の「くらしの中の竹工芸展」に出品します。

昨年ナンタケットバスケットを竹で制作しましたが、取手があるとどうしても「用」が前面に出てきてしまうので,抽象性を高めるためになくしました。
「素朴と洗練」「装飾と機能」の融合を目指しています。

改善点は、大きさをもう一回り小さくすることと、胴編みのひごの合わせ部分にもっと注意を払うべきですね。
実物を見ていただければ「ああそうだね」とわかると思います。
また、時間をおいて挑戦します。

「くらしの中の竹工芸展」は2月23日〜3月7日、別府市竹細工伝統産業会館で開催しています。
# by first-nakatomi | 2010-02-09 23:37 | open process

卓越技能者記録保存事業

卓越技能者記録保存事業は、私も参加する若手竹職人の集り「巧匠竹学会」の活動で、年配の竹工芸の先生方の仕事を映像記録として後世に残そうと、九州電力さんの支援を受けて行っています。

・竹の世界に入られたきっかけ
・過去の仕事について
・道具について
・若い竹職人への提言

などの質問をしながら先生方の仕事を記録しています。
尚,記録した映像は、大分県竹工芸訓練支援センター、別府市竹細工伝統産業会館、大分県立芸術会館に寄贈する予定です。

先月は2代渡邊勝竹斎先生の工房にお伺いしました。
昭和2年生まれの先生は、80歳を超えられても週5日、元気に仕事をされています。

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先生の面取り包丁(竹ひごをとるときに使う道具)。
銑刃(厚みをとる刃物)がすり減ったものを加工してこの道具を作るそうです。
気の遠くなる仕事量をこなさないとできないですね。

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こちらは幅取りの台(松製)。
それぞれ幅が決まっていて、求めるひご幅に合わせて刃物を打ち込み、使います。

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編みを干しているところ。
天日で干すと、染色したときに色の染まりがよく、また落ちにくいそうです。
ここまで心を配ってものを作っている方は、あまりいないと思います。

著作権上,先生の作品は載せませんが、ため息の連続でした。
70年間も竹の仕事をされている人の、凄みを感じます。
最近は締め切りのない仕事をゆっくりされているとおっしゃっていましたが,少しでも長生きして作品を作られることを願っています。
# by first-nakatomi | 2010-02-06 23:36 | open process

現代の侘び寂び

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別府の町中を散歩していて出会った建物。
その圧倒的な存在感に、つい見とれてしまいました。
これは作ろうと思っても、なかなか真似できないですね。
左側の建物は元病院。
廃業した病院の建物はどこか不気味さを醸し出すんですが,この建物はそこを突き抜けて明るささえ感じました。

初めからこのような姿を目指していた訳ではもちろんなく、「居住者のライフスタイル」と「時間の経過」が相まってこうなったんでしょうね。
これこそまさに侘び寂びの世界。
こういう建物で茶を点てる人が出てくるようになると、茶道界も面白くなるのかも。
# by first-nakatomi | 2010-02-06 21:06 | thinking

プロセスの美しさ

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今日、竹工芸支援センターで見つけた一風景。
竹を板状に展開して、火曲げ軸でまげた部材。
ストーブで塗装を乾かしているだけなんですが,部材のランダムさと光のあたり具合が美しかったです。
オブジェとしても、いろいろな展開ができそう。

祥雲斎も展開の部材で、おしぼり入れや菓子器などをたくさん制作しています。
当時は日田に板状の部材を製造販売している会社がありました。
今は自分で部材を一から作らないといけないので、なかなか大変ですね。
ただ、この技法は可能性があると思います。

作り方は
1、竹の表皮をはつる(柔らかい内側だけを使います)
2、お湯で柔らかくして形を作る

原始的なんですが,きれいに、割れずに作るのは難しいと思います。
どういうものが出来上がるのか楽しみです。
# by first-nakatomi | 2010-02-05 23:00 | open process