昨年、ハンブルグ美術工芸博物館で開かれた「籠師展」の図録が手に入りましたので、ご紹介します。 初代館長のブリンクマン(1843−1915)が江戸末期から明治初期の日本の籠を収集し、その収集品の展覧会です。 日本においてもマニアックな展覧会が、ドイツで開かれていることに驚きます。 http://hamburg.germanblogs.de/archive/2009/08/18/kagoshi-hamburg-korbflechten-im-museum-fur-kunst-und-gewerbe.htm ちなみに、「籠師」とは関西地方を中心として、江戸末期〜戦前まで活躍した高級竹籠を作る人たちのこと。 代表的な人物として、初代早川尚古斎、初代和田和一斎、初代田辺竹雲斎など。 ヨーロッパでの、日本の竹籠のコレクションは、 英国のビクトリア・アルバート博物館が、兵庫県有馬の籠を中心に所蔵。 スイス人のハンス・シュペッリーのコレクションは無名の約2000点の竹籠を所蔵。 アメリカでは サンフランシスコアジア美術館のコッツェンコレクションが有名ですが、 プリンストン大学付属美術館美術館にもコッツェンコレクションの一部が寄贈されています。 メトロポリタン美術館にもティファニーのシルバー部門統括ディレクターでデザイナーの、エドワード・ムアーが1891年に寄贈した花籠80点があります。 アメリカは他にも美術館や個人の竹工芸コレクションが存在しており、現在では一番竹工芸に理解のある国といえるでしょう。 それでは、籠師展の図録の中をご紹介します。 一番下は竹籠の模写です。 当時は写真技術がなかったため、集めた作品を精密に模写しています。 作品の質感まで忠実に描かれており、驚きます。 銘の研究までされています。 竹籠の研究は外国のほうが進んでいるのかも。 どうしてハンブルグ美術工芸博物館が、日本の竹籠を収集したのか? 理由は、ドイツの籠職人の手本とするため。 昔から日本の編組技術は高いレベルにあったようです。 実際、素材に柳を使い、日本の竹籠を精巧に写したものが展示されていたそうです。 19世紀後半の国際博覧会には、日本の工芸品がたくさん出品されていました。 当時、工芸品は国の重要な輸出品として位置づけられていたんですね。 それらの籠が、巡り巡ってハンブルグにあるというのも面白いです。
by first-nakatomi
| 2010-02-25 21:56
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