竹の染色方法(みやこ染料コールダイオール・コールダイホット)

質問を受けることが多いので、桂屋ファイングッズの染料の使い方を記します。
専門的な内容です。

1 どういう竹に染めますか?
竹の表皮の上からでも染まらないことはないですが、かなり染まりにくいです。
竹の表面は硬いエナメル質で染料が浸透しませんので、あまりお勧めできません。
晒竹(さらしだけ、別名白竹、油抜きをして天日で晒した竹)の表皮を磨き(カンナで表皮をはつる事を竹業界では磨くといいます)、染色することが基本です。
晒竹は薄黄色が生地の色ですので、染料の色がその上にのることになります。
白い布生地に染めるのとは色味が異なりますので、事前に実験してください。
また、染色後にウレタンニス、カシュー塗料、漆などを塗る場合は、そこでもまた色味が変わりますので、試作するのが良いでしょう。

染色後に塗装をしない場合は洗剤で洗う必要がありますが、竹の場合は塗装をするので洗剤で洗う必要はありません。
水洗いを丁寧にすれば大丈夫です。
別府の竹の学校では、色落ちしやすい塩基性染料でも水洗いで済ませています。

2 染色方法はどうしていますか?
染色方法は、予め染料を複数混ぜて求める色を作り染めることもできますし、色ごとに鍋を用意して、交互に浸すという方法もできます。
私は後者です。
なぜなら、染料によって着床の良いものと悪いものがあると思いますし、染料を捨てずに何度も継ぎ足しで使うからです。
染料は継ぎ足しで、何年も使用していますが、問題はありません。
ただし、毎回使用するたびに目の細かい金属濾しで不純物(染料のだま、竹のアク、ゴミ)を濾しています。

3 染色温度・染色時間はどうすればよいですか?
染色温度・時間は基本的には説明書通りで良いです。
色の濃さは各自で判断する必要があります。
濃い色が良ければ、染色温度を高く、染色時間を長くします。
薄い色(ピンク、ブルー、グレーなど)は濡れた状態と、乾いた状態での色味が随分異なりますので、事前に試作する必要があります。

あまり温度の高い染色液の中に浸しておくと形がゆがむ場合があるので、その際は染料の濃度を濃くすると良いです。
コールダイオールは30度以上で染まりますので、比較的歪みにくいです。

4 助剤として塩は入れますか?
塩を入れても漆などはのりますか?
最近は私も説明書通りに塩を入れています。
ですが、以前は入れておらず、感覚としてはあまり変わらないような気もします。
塩の有る無しの違いを特に実験していないので、よくわかりません。
塩を入れても、染色後に軽く水洗いをしますので、経験上ウレタンニス、カシュー塗料、漆の塗装はのります。

5 染色後、色止め剤ミカノールを使いますか?
ミカノールは所持していますが、竹に使用したことはありません。
漆などの塗装に影響があるかもしれないと危惧するからです。
ミカノールで色落ちが防げるのか、仕上げの塗装に影響するのかなどは実験しないとわかりません。

仕上げ剤は、ウレタンニス、カシュー塗料、漆が竹業界では一般的です。
私の経験からいうと、上記の3つの塗料は大丈夫でした。
ただしそれぞれの塗料の色味があり(透明でも)、塗装後は色味が変化しますので注意が必要です。

6 その他、注意点はありますか?
竹は繊維が固く(とくに表皮側)、竹工芸の場合は竹ひごとして使うのは表面の1ミリ以下ですので、布と比べて色が浸透しにくいです。
染色後によく洗うと、色がかなり落ちてしまいます。
染色後にしばらく置いておいて(10分〜15分)、その後に水洗いすると色落ちが防げます。
また洗いは、軽く水洗いする程度に済まし、ウレタンニスや漆などの塗装で膜を張り、色落ちを防ぐと良いでしょう。
説明書ではよく洗いと書いていますが、よく洗うと色が落ちてしまいます。
私は、流水ですすぐ程度で済ましています。
ここは非常に難しいところで、バッグなどに使用する場合は、服に色移りをすると大きな問題なので、各自の判断に任せるしか無いと思います。
予め濃く染めておいて、よく洗い、色が落ちても、ちょうどよい感じにおさまるようにするなど。
経年の退色は、直射日光に長期間さらさなければ大丈夫です。
塩基性の染料に比べ、退色はあまりしません。

上記にも述べましたが、竹には生地の色(薄い黄色)があります。
竹に染色するということは、竹の色の上にのるということを、絶えず念頭に置かなければなりません。
黒や茶色など濃い色は問題ないのですが、薄い色は非常に繊細な判断になります。

ただ、薄い色のグラデーションはとてもきれいです。
今後の竹の表現を広げてくれると思います。

# by first-nakatomi | 2019-05-16 20:45 | open process

生野德三先生の個展

生野德三先生の喜寿を祝う個展が開催中。
2001年以来となる大規模な回顧展で、展示作品は主に今世紀以降のものが多いです。

大分市アートプラザ

2019年5月11日〜23日(会期中無休、入場無料)
10:00~18:00


父親が人間国宝というのは大変な重荷だと思うのですが、それでも55年間も竹工芸を続けてこられて、今尚精力的に作品を制作されています。

作品は年々力強さが増しているようにも感じます。

最近は若い竹工芸家の指導にも力を入れてこられて、私もお世話になっている一人です。

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# by first-nakatomi | 2019-05-13 22:13 | information

新世代の萌芽展 in 別府市竹細工伝統産業会館

現在開催中の展覧会のご報告。
著作権の関係上、全体像だけの写真です。

私は壁面作品「space Ⅱ」を7点出品しています。
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# by first-nakatomi | 2019-05-13 22:07 | information

額装作品

昨年の個展に出品していた壁面作品を額装しました。
地元の額縁屋さんに、友人の画家のアドバイスを受けて注文し、ようやく様になりました。
外見のシンプルさとは反対に、内部の構造が複雑で専門家の助言がないと、額装は難しいですね。
また、前面にアクリル板がありますが、ホコリを入れずに額装するのは至難の業です。

撮影は写真家の氵首忠之(みなもと ただゆき)さんです。
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# by first-nakatomi | 2019-05-11 21:42 | works

制作の一風景

地元のホテルのためのレリーフを製作中。
制作の一場面です。
サイズが大きいと工程は同じでも、時間は何倍もかかることを実感しています。
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悲しい事件が多いですが、避けようのないものはどうしてもあります。
散歩中の事故にあった子どもたちに、早く笑顔が戻りますように。

# by first-nakatomi | 2019-05-08 21:27 | open process